「あなたの敵を愛しなさい」という教えほど実践の難しいものはありません。
しかし、「雨ニモマケズ」のモデルとなった愛の人・斎藤宗次郎の生き方を通して私たちは敵を愛することを教えられます。
彼は内村鑑三の影響でクリスチャンとなるのですが、人々から多くの迫害を受けてきた人です。親から勘当され、職を失い、家を壊され、ついに愛する娘の命まで迫害によって奪われました。しかし、絶望的な悲しみの中で彼は神様に従い迫害する人々に愛を持って仕えることを選びます。(27節)
彼は配達のため一日40kmの道のりを10メートル走っては神様に祈り、10メートル歩いては神様に感謝をささげ、町の人々にキリストを宣べ伝えました。(28節)
宗次郎は町の人々に愛を持って仕え続けましたが、やがて内村に招かれ東京に引っ越すことになります。町を離れる日、誰も見送りに来てくれないだろうと思って駅に行くと、なんとそこには身動きがとれないほどの人々が駅に集まっていました。(35節)その中に若き日の宮沢賢治もいたのです。そして、そんな宗次郎を見ていた宮沢は、 そういう者に私はなりたい、と詩に書いたのです。宗次郎は、イエス様の十字架の愛と赦しを知っていたので、ここまで敵を愛することができたのです。
赦すということは、赦された者にしかできないことだと言われます。しかし、真に赦しを理解するには、自分も赦すことです。
赦せない人がいたとき、その人は真の赦しを私に教えるために神様が与えた器だと受け取ってください。
敵を赦すことができないとき、キリストに似た者と変えられるために主が与えた訓練として受け止めてください。
「あなたがたの天の父があわれみ深いように、あなたがたも、あわれみ深くしなさい。」(36節)
このイエス様の愛を実践するとき、私たちのうちにキリストが現され、それを見た人が「そういう者に私はなりたい」と思っていただけるのです。
「そういう者に私はなりたい」 ルカ6章26~38節 説教:砂原和史師(戸坂聖書教会牧師)